思い出の魚釣り(故郷の清流千種川にて)

 久しぶりに私の故郷を流れる清流千種川の岸に立った。兵庫県宍粟市から、佐用町、上郡町、江戸時代元禄の花と持てはやされた赤穂義士で知られる赤穂市へと流れて瀬戸内海に注いでいる。千種川はまさに、童謡の「故郷」のような、「小鮒釣りしかの川・・・」なのである。中学生のころ、よく父とこの川に夜釣りに行った。もう50年くらいも前のことになってしまった。その父もなくなって10年になる。この頃は鰻が釣れるのも珍しいことではなかった。一晩で九本も鰻が釣れて、持って帰って母に見せたら、大変喜んでくれたことを今でもよく覚えている。高校を卒業して就職してから、初めて新幹線に乗って、その中で食べた「うなぎ弁当」の鰻の味は、この川で釣って食べた鰻の味とは全く別の種類の魚と思えたほどだった。断然千種川の鰻のほうがおいしかったのです。今ではスーパーに行っても、鰻一匹が2000円もして、なかなか口に入ることもなくなりました。今でも千種川の岸に立って川の流れをじっと見つめていると、「なつかしい中学生の頃にもどれないものかなぁ」と一瞬思ってしまうことがあります。

 

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