十五のこころ

 お盆 久しぶりに田舎の中学の校庭に来て見た

誰もいない校庭に 真夏の太陽だけが照りつける

昔の、古びた木造の公舎も講堂も、そこにはない

真新しい鉄筋の公舎と体育館を目の前に

いまさらながら、早すぎる時の流れを思い知る 

花壇の石垣に腰掛けて、ひとり校庭を眺めていると

遠い昔の記憶がただ懐かしくよみがえる

 

先輩にしごかれて、泣きながら何周も何周も走らされた校庭

硬いコンクリートの上で何十分も正座をさせられた校庭

胸の皮膚がすりむけて、ユニフォームに血がにじんでも

小石まじりのコートでひたすらバレーボールを追い続けた校庭

 

日が落ちて、もうボールが見えなくなる頃に

くたびれ果ててひざをガクガクさせながらやっと家路に着く

そんな中学時代だった

 

目の前を気持ちよさそうに、スイスイと赤とんぼが飛んでいく 

そういえば、いまどうしているのだろうかな

陸上競技大会のの合同練習で、ひと夏だけ一緒に練習した彼女

練習が終わると、学校の坂道をいつも一緒に帰ったものだ

 

その頃も今日と同じように赤とんぼが飛び交っていた 

夕陽に映える彼女の姿はまぶしいほどに輝いていた

十五歳の私のこころをときめかせた彼女も

今はもう、いいおばあちゃんになっているのだろうな