幸せは隣にあった!

   世間では博打好きで遊び好きの男を、「飲む、打つ、買う」の三拍子そろった男と言ってあまり歓迎されない。

類にもれず、私も麻雀やパチンコ大好き人間で、大げさに言えば人生の四分の一ほどの時間をこれらに費やしてきたように思う。

 先の大戦で、海軍連合艦隊司令長官 山本五十六は、最後まで日米の開戦に反対したが、開戦止むなしとなるや、鮮やかに米艦隊の集中する真珠湾攻撃を進言して、見事に奇襲を成功させた男である。

山本五十六の名言の中で、一つだけ博打について語っている。「博打をしない男はろくなやつじゃない」と言っているのだ。今まで、この言葉を自分のつごうの良いように解釈して、賭け事を良しとしてきたのだが、山本五十六の言う博打とは、国家の浮沈を賭けるような、でっかい博打だったのだと今なら理解できる。

 最近は年金暮らしのこともあって、パチンコも一個一円のパチンコしかしない。久しぶりにパチンコ店に行った。最近は女性の客の方が多いぐらいになっている。私の右隣に陣取っていた男が早朝に出た四箱をみんな打ち込んで、あきらめて席を立った。私が、そこに座ろうかなと思案している間に、かなり年輩と思われるおばあちゃんが、どっかと腰を下ろした。

なんと、座ってすぐに確立変動を引き当てたのだ。それから見ている間に5連荘した。

 私の台は確立99分の1の台なのに、360回以上回っても1回もかからない。それから2台席を変わったが、結局は負けてしまった。

 午後2時過ぎ、帰り際に例のおばあちゃんの席を覗いてみると、何と36回出ていて、箱が山のように積まれている。幸せはすぐ隣にあったのだ。

 今、こんな光景を山本五十六が見たとしたら、何というだろうか。いかに山本五十六でも、女性が大挙してパチンコ屋に行くなどという時代が来ることは、予想すらできなかっただろう。